インドのジェネリック「特許事情」

ジェネリック大国インド

ジェネリック薬は確かにより安く手に入るけれど、バイアグラはじめ先発薬の特許が切れるまで発売を待たなければなりません。しかしインドではカマグラをはじめとする、さまざまなジェネリック薬が、それぞれの特許が切れる前から生産されてきました。これはどのような理由によるものでしょうか。

貧しい者の味方という看板

戦後のインドは、自国がまだまだ抱える膨大な低所得者層にも、医薬品が安価に行き渡らせることを目指します。そこで先進国からの高価な医薬品に頼らず、自国で手に入れやすい薬を生産し、容易にアクセスすることを可能にするための戦略をとってきました。

医薬品における特許

「発明」はモノのようにとってはおけないので、定められた制度で適切に保護されなければなりません。そこで、発明者には一定のあいだ独占権を与えてその保護を図る一方、特許権の期間が終了した後は人類共通の財産として、技術進歩や産業発展に寄与させるということが特許制度の考え方です。このうち、医薬品に関する特許には次の3つに大別されます。

物質特許 新たな物質そのものに付与。製造方法が異なっても、出来上がった物質が同じなら、特許の権利が及ぶ。
製法特許 物質の製造方法に対する特許。製造する物質が同じでも、製造方法が異なっていれば、出来上がった物質に特許の権利は及ばない。
用途特許 物質の新しい用途への付与。既知の用途で用いられた時は、特許の権利は及ばない。
インドの「1970年特許法」

ここでインドでは医薬品について「物質特許」は認めない、という「1970年特許法」を成立させます。これを認めてしまうと、欧米の高額な医薬品に頼らざるを得なくなり、自国民の多くが満足な治療を受けられなくなる恐れがあったためです。このような状況から、インドでは独自の製法を開発し、製法特許さえ回避すれば、欧米などで膨大な費用をかけて開発した先発薬をインド国内で合法的に製造販売できる状況にありました。

インド物質特許なし

WTO加盟と「物質特許」導入、でも…

1995年の世界貿易機関(WTO)の発足と共にインドもこれに加盟しました。WTOの加盟には、TRIPs協定(特許等の知的財産権についての協定)を遵守することが義務付けられるため、これまではなかった物質特許も導入されることになります。しかし既知の物質を少し変化させたぐらいのもの、既知の物質の新しい使い方(用途特許)は、発明に該当しない、という規定を設けて特許の対象を限定しています。このため、他国では認められている物質特許も、インドでは認められないといった事例が発生しており、先発薬の権利の保護にはまだまだ大きな障壁が残っている状態です。

「強制実施権」の行使

もう一つの特有な事情として「強制実施権」があります。これは、公衆衛生上、非常事態とみなされる場合、特許権が実際に行使されていない場合などに、国家が特許のライセンスを強制的に第三者に与えることをいいます。インドを含むWTOの全加盟国に認められている権利です。日本など先進国で強制実施権が行使された例はありませんが、インドでは薬の値段が単に高すぎるといった理由だけで、インド国内の製薬会社からの強制実施権の請求が相次いでいるのが現状です。

インド特許の制限

ジェネリック薬は作り放題?

このように、インドの製薬会社は自国民の医療へのアクセス保護を名目に、他国では特許権がまだ残る状況下でも、そのジェネリック薬を合法的に製造・販売しながら成長を続けています。これはインド国内だけでなく、事情の似ている他の新興国へのジェネリック薬の輸出にもつながっています。

先進国メーカー今後の動き

特殊な特許事情を持つインドでは低コストで医薬品を製造できる環境が整い、近年では先進国メーカーからのアウトソーシング先としても注目されています。また、安価な製造技術を獲得したインドの製薬会社と、更なるノウハウが与えられる先進国メーカーが、今後の医薬品の市場としての期待を受ける新興国市場での立ち位置を強固にするために、知的財産の保護の問題も含め、連携を図る動きもすすんでいます。

インド製ジェネリックの安全性

このように急速な成長を続けているインドの製薬会社ですが、この品質が先進国の規制を満たさない事例が起きていることも事実です。日本の製薬会社が子会社化したインド企業の製品が、米国FDA(食品医薬品局)から相次いで品質管理体制の不備を指摘され、対米輸出禁止を受けた事例もあります。

個人輸入代行で薬を入手する危険性

インド国内の製薬会社が製造した医薬品の全てに問題があるわけではありません。しかしバイアグラのジェネリックについては、既に日本国内の複数の製薬会社から手ごろな価格で発売されています。「いつもとは違ったことをしてみたい」と思わない限り、偽造品・粗悪品、サイバー犯罪の被害、通関や到着日数の問題、健康被害があった場合の補償などのリスクを考えても、国内製品のバイアグラやシルデナフィルの処方を受けることをお勧めします。

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